諸星未来堂ワープ日記
夕立と雷雨な七月第五週
MOROBOSHI Tomorou's
Warp Diary
1998 July 5th Week
Japanese-Language Contents
980727a[ daily life / 日常生活(月) ]
福岡は曇天。
昼はオレ的大好物のひとつであるところの「キーマ・カレー」である。
で、話題は、ついつい和歌山の「夏祭りカレー青酸化合物混入事件」に。
「これが本当の『青酸カリー』」とか言うと「この不謹慎者め!」と袋叩きにされてしまったのだった。
ま、カレー食いながら語る話題でないのは確かだな。
それにしても、恐ろしい話だなぁ。事故で混入したとしても恐ろしい話だが、無差別殺人だとしたら、愉快犯だとしても、夏祭りに対する妨害としても、特定の誰かを狙った殺人だとしても、怖すぎるなぁ。
しかし、事故と殺人で、どっちが怖いか? って言われたら、誰かが故意に青酸化合物を入れたんじゃなくて、事故でたまたま混入してしまった、って方が、どちらかというと怖いかもしれない。誰も悪意を持ってないのに、死んでしまうってのが。でもどうなんだろうな、不幸な事故で死ぬのと、誰かの殺意の標的になって死ぬのじゃ、どっちが嫌かなぁ。まぁ究極的には「死んでしまえば死んだ本人には関係ない」ってことかもしれないが。残された人には関係あるよなぁ。
最初、報道を聞いた時は「夏祭りのカレーで食中毒かと思っていたら、どうも青酸化合物が混入していたらしい」という話で「カレー作ったオカーサンたちは『あー食材が腐ってたんじゃなくて、毒が入ってたのね。それなら、あたしたちの責任じゃないわ』とか思って、少し安心したかもなぁ」とかボンヤリ考えたのであるが、アサヒコムを読むと、カレー食った人間が夏祭り会場でバタバタ倒れて吐きまくるという修羅場だったようだから「あたしのせいじゃないわ」とか思わなかったかもだけども、いきなり殺人事件の被害者になるのもやだけど、いきなり殺人事件の加害者になるのも、やだよな。
先日読んだミステリー(「本廟寺炎上」井沢元彦、だったと思う)に「青酸カリは猛毒であるが、なかなか飲み込みにくい毒で、カプセルとかに入れないで食品に混入させた場合は、かなり味付けの濃いものに入れないと、飲み込んでも反射的に吐いてしまうので、なかなか死ににくい毒だ」というようなことが書いてあった。カレーに入ってて、程良く(運悪く)薄まってしまったのが、死者が出た原因なのかもなぁ。
今のところ、全ては謎なんだけど、「この事件は脅迫事件で、犯人は脅迫のために毒を入れたが無差別殺人を実行するつもりではなかった。しかし、脅迫状が届かなかった、あるいはイタズラと思われて握りつぶされたために、犯人の意図とは違って実際に人が死んでしまった」んじゃないかな、とか思ったりして。
もちろん、ただ思っただけで、なんの証拠もないんだけども。
本日のメイン作業は「書類作成」である。
これは管理部門の上の方まで駆け上がって、オレ様にお金をもたらす素晴らしい書類なのであるが、お金がからむから、キビシーのだった。
昨年度の資料をひっぱりだして、管理部門のFirewallだかIronwallだかを貫通する書式にするぜーするぜーと思って書いて提出。
部屋に戻るなり鳴る電話。うぐー、今年度になって書式が若干変更になった上に、管理体制が強化されて昨年まで通過していた細かいミスが全部チェック対象になってしまったらしー! くぅうう!
赤ペンもって管理部門に出頭すると「なんです? その赤ペン」と不審がられてしまう。「いやー、もー、内容的にはそこに書いたとおりでして、テニオハとか用語とかに関しては、全く執着しませんから、言われたとおりにここで朱を入れて、一字一句全く同じ書類を作り直して持ってこようかと」とオレが言うと「あら、そんなの面倒くさいわ」と、担当の女性は、シュパシュパシュパーッ! とオレのオリジナル書類の問題部分に訂正テープを貼りまくってコピー。はいここは「は、」はいここは「成果」、と、指示が出る。オレは完全にロボットと化して、言われたとおりに黒ペンで書き込むのだった。
おぉ、あっという間に偽造(をい)完了!
妙にすがすがしいような、よーく考えると、極めてエネルギーの無駄のような、なんともいえない気持ちがするのだった。オレの気持ちはどうでもいいので、書類クンが管理部門の上の方まで駆け上がって、お金に化けて戻ってくるのを心待ちにするオレなのだった。