諸星未来堂ワープ日記
MOROBOSHI Tomorou's
Warp Diary
1997 December 2nd Week
Japanese-Language Contents
週末は、なぜか、物語漬けだったのはオイラだった。
土曜の夜は『ヴァーチャルガール』の再読。後半から読み出してラストまで到達したのだが、やっぱり気になって、最初に戻って、結果的に一周してしまった。最初に読んだ時は「天才コンピュータオタクが,自分だけを愛してくれるようにと開発した美少女アンドロイドと逃避行するのだが」という部分が印象深かったのだが、今回は、「流浪するアンドロイド美少女は、ホームレスやゲイの黒人ダンサーや服装倒錯者らと次々に友情をはぐぐみ」のあたりが気になった。こういっちゃなんだが、妙な人ばかり、ぞろぞろ出てくる小説だったのだな。
次は、『死者の代弁者』の下巻。下巻を読み終えたので、上巻。エンダー・ウィッギンの冒険? は、やはりゲド戦記を連想させる。
ついでに『エンダーのゲーム』の後半を跳ばし読み。なんといっても、メイザー・ラッカムというキャラクターは「スキあり!」と、いきなり殴りかかってくるフンドシ一丁の謎の老人という気がしてしょうがない。
今頃言っても笑われるだけだが、やはりエヴァとエンダーのゲームは似ている。
先日『ナウシカ解読-ユートピアの臨界-』稲葉振一郎 著、というナウシカの解説本を読んで、マンガ版ナウシカのラストにいまひとつ自信がもてなくなっていたので、7巻だけ読み返す。「命は闇の中でまたたく光だ!」のあたりが、ぼんやり読んでいると、「ナウシカの言うとおりだ!」という気がするんだけども、やっぱり、どうしてシュワの墓主が滅ぼされなくてはならなかったのか、わからなくなってきた。それに、偽救世主を演じることに決めたナウシカはいいとしても、真実を知って自分らのアイデンティティが根底から覆ったはずの森の人セルムは「よかったよかった」とかいう雰囲気で瞑想してる場合じゃないんじゃねーのか、と思う。
『死者の代弁者』じゃないけど、異質で互いに相容れない種族同士は、やはり皆殺ししか手がないのか? とか、思ってしまう。
『エンダーのゲーム』『死者の代弁者』と読んだので、アンドルー“エンダー”ウィッギンの物語の(現段階での)最終章『ゼノサイド』にとりかかる。ゲド戦記で言えば、老人となったゲドが死を受け入れる話になるはずが、長年連れ添った女房には離婚届けつきつけられ、長年の愛人は若いツバメに夢中になってエンダーほったらかし。環境はめちゃくちゃ。死者だらけで代弁の声もかからないぐらい緊急事態発生だけど、実務能力のない主人公はイライラオロオロするばかり。中華生意気バカ女がラストまでバカのまま突っ走って読んでてイライラするし、急転直下の大逆転劇は、トンデモ宇宙論に収束するあげくのラストに、ゲドたるエンダーは、自分から死者の世界との穴をボッコリあけて、物語を混沌にあけわたして泣きながら退場。
書評で「エンダーはついに魂の休息の地へとたどり着いたのだ。おつかれさま」と書いていた人が昔いたが、「どこが、どう、休息の地なのか説明してみれ!」と言いたいのはオレだけなのか?
『もののけ姫』を、やっと観る。
見終わっても、何と言っていいのかよくわからない映画だった。「単純な答を示す映画じゃないんだろう」と思って、納得できないまま受け入れることにする。ただ、後ろの座席のカップルの女の子は感動のあまり泣いてしまったらしくて、彼氏(発音しりあがり)にからかわれていた。
どうでもいい感想といえば、
まー「自然はすばらしい! 自然をいたわろう!」とか、いきなり言いたくならない映画ということだけは確かなようだ。
三食,すべてピザ。大丈夫か?>オレ。
書店によって「もののけ姫がわかる本」の類を買いあさろうかと思ったが、すでに店頭にはなし。ぐえ。
家に戻ると、弟君にとっつかまって「『もののけ姫』のどこがどう素晴らしいのかピンとこなくて困っていたのだが、ちょうどよかった、説明してくれ」と言われて、口からでまかせに色々語る。「宮崎駿が語ろうと思ってないことを、語られたくて、みんな映画館につめかけたのではないか?」という疑惑を感じる点で一致した。
というわけで、よくわからんが、物語にまみれた週末だった。あと9時間ほどで現実世界に戻らねばならないのだが、無事戻れるのかのぉ?
971213a[ daily life / 日常生活 ]
/ 駅伝大会
/ 「コミックボックス」
/ ウルトラマン・ティガ
/ 「タオの月」
/
朝から、仕事場駅伝大会。
とはいえ、オイラは選手引退したので(ぢぢいなのか?)、記録計測&写真係。
本屋で、つらつらと棚を眺めていると、ホビー誌の棚にウルトラマン・ティガが表紙の「宇宙船」が......じゃないな、じゃ「Bクラブ」でもない? ん? あ、コミックボックスだったのか! ロゴこりすぎで、よめんぞよ。
「宇宙船」ってのは季刊の特撮情報誌。「Bクラブ」は、バンダイ提供のアニメと特撮と、そのプラモの情報の月刊誌。「コミックボックス」は、基本的にコミックスの情報誌なんだけど、時に硬派だったりもする。
ウルトラマン・ティガかー。最終回あたりは、非常に評価が高かったらしいのだが、結局、一度(それも、かなりどうでもいい回)しか、見てないからなぁ。ビデオが出たら、最終回近傍だけチェックしたい、とは思うのだが、いくら「ティガのデザインが秀逸だ」と言われても、オレは「そうはいっても、やっぱ、ばったもん」という印象から抜けることができないのだった。うーん、オレもタダの「元特撮好きオヤジ」として、ノスタルジー一本槍モードで再起動すべきらしいのぉ。とほほ。
「ノスタルジー一本槍モード」ってのは、自分が昔観た物が素晴らしくて、いま新しく作られた物は、その模倣か、伝統破壊にすぎない、として文句をつけて「昔は良かった」とだけ主張するモード。
うーん、字にすると、ほんとに、イヤンだなぁ。
雨宮慶太監督「タオの月」を観に行きたいのであるが、韓国から戻ってからいきなり秘密任務週間だったりしたので、はっきりいって、疲れまり。「身も心もボロボロです」とかいうといいすぎだけど、ちょっとクタビレ君です。と、いうわけで、たっぷり寝ます。
ぐーぐーぐー。
971212a[ Lunch at TECHNO-POP / テクノポップで昼食を ]
ぢつは、今週は「年末秘密任務週間」だったのだ。
と、いうわけで、秘密任務@北九州某所。
先日は500系のぞみ新幹線で、10分強ぐらいで通過したであろう距離を、鈍行で1時間20分かけて、ちんたらちんたら「小旅行」するわけです。
で、北九州某所に建設された、北九州産業界の要塞(うぞ)「北九州テクノプラザ(仮名)」とかいうような場所で、秘密任務。
秘密任務の詳細は例によって秘密なのであるが、昼食は、「テクノプラザ(偽名)」のレストランでとれ、との指令。んで、そのレストランにてこてこ歩いていくと、すでにネタばれていたように、
「喫茶レストラン・テクノポップ」。
あまりのネーミングのすばらしさに、頭の中にYMOはライディーンのメロディが鳴り響くわけです。あまりのすばらしさに絶句して、デジカメるのを忘れていたのが痛恨ですな。
「テクノランチ」はサクッとパスして、ちゃんぽん、など食す。ここ数日、胃の調子が悪まりなので、胃にやさしそうなものを選んでしまう。
で、秘密任務中に、大学時代の先生(現在は、別の大学に転任)にばったりあって、懇親会で「さーのめ、やれのめ」の世界に。いろいろ先生もメートルがあがって(死語表現)「いいかー、我々の学問分野はー神の領域だ!」とかぶちかましていただきやがる。あまりのすばらしさに「ぼ、ボクもそう思います!」とか、お酌をしてしまう、影響されやすいのかオレ/たまには、おべんちゃら使うのかオレ。まー、先生は当然ながら博士なわけで、ってことはPh.Dなわけで。Doctor of Philosophyなわけで、哲学博士なのなー、とか思ったのだった。(物理学博士も工学博士も、基本的に、Ph.Dなので、念のため)。
「いやーボクも在学中、そう思ってたんですよ」とか、そろそろバレるおべんちゃらをぶちかまして「うそつけー! げらげら」と落としてもらってお開きにしようとしたら、「そう! そうだろう! お前はわかっていたはずだ。なぜなら、我が学科最大のマニアックだったからな!」とか、背中をバシンバシン叩かれてしまった。ぐえええ。誰だよ、教授連中に、わけわからない噂ふきこみやがったのは!
熱く語りすぎて、飲み過ぎ。帰りの電車は思いっきり爆睡。ふた駅ごとぐらいに復活しては「すみません、ここどこですか?」と隣のオネーサンに聞くので、しまいには、オイラが頭を動かすと「ここは、トウゴウですよ」とか教えてくれるのだった。ありがとうハニー。(酔ってるのか>オレ)。
「はかたーはかたー」
乗り過ごしたのかッ!(うぞー)
971211a[ Sit Up All-Night / 徹夜にささげるバラード ]
と、いうわけで、明日の秘密任務の用意で、けっきょく徹夜になります。
いやだいやだ、といやがってる間にさっさと終わらして寝ればいいのに、と自分でも思うのですが、結局、頭痛が発生するまで逃避して、どうにも逃げられなくなってから、泣きながらやるのは止められません。ダメです。こんなダメな自分が実は大好きなのかも。うふ。と思うと、破綻は近いを思われます。
『世界の終わりとシットアップオールナイト・ワンダーランド』
終わりたくないのぉ。
ストレスが臨界になったのか、リアルワールドの身近な人からネットワールドの身近な人にまで、悪意の刃を向けてみるのでした。ストレスの臨界じゃなくて、単なるオイラの本性という説もあるのですが。
実は先週末から、本屋にいくたびに5000円ずつ本やら雑誌やらわけわからないものをどかどか購入してしまって、財政が破綻しているのです。
けど、その感想文を書くような心の余裕がない、と、まぁそういうわけです。
ぐーぐーぐー。
寝てる場合かぁ!
971210a[ The Secret of JR / ジェイアールの秘密]
/ JR各社のドメイン名の秘密
/ NASDAの秘密
/
500系の画像が欲しくなったので、JR西日本につなごうとしたのであるが、www.jrwest.co.jpではなかった。
ちょっと調べると、
ちなみにマイペディアでは「ジェーアール」と表記されていたが、JR東海エージェンシーのページには「ジェイアール」と書いてあった。JRの読み方のカタカナ表記が各社ばらばらだったら、面白いな。
ちなみに、JR東日本、JR西日本以外のJR各社の社名には「日本」が無いので、どう略しても「JR」にはならない。
(関係ないが宇宙開発事業団はNASDAであるが、NはNationalでNipponではない。が、英語の名称は「National Space Development Agency of Japan」で、ちゃっかりJapanが付いている。きっと「NASDAは、National Space Development Agency、の略」で、「宇宙開発事業団の英語の正式名称はNational Space Development Agency of Japan」ということなんだろう。わからん、案外「NASDAは、National Space Development Agency of Japan、の略」なのかもしれん。「of Japan」を丸ごと省略するのも豪快だな。って、オレもいらないと思うけど、略称には)。
秘密任務を帯びて、朝イチで大阪に飛ぶ。
「飛ぶ」は単なる比喩ではなくて、JALの夢の翼だったのだ。しかも、珍しいことに、主翼の前方の座席だったので、離着陸時に主翼の前側もせりだして変形しているのを見てしまった。
機内では、気圧の関係がものすごい頭痛がするが(睡眠不足もあったのだ)、頭痛にまけずに寝る。機内テレビにカメラからみた前方の様子がうつっていたので、着陸の時、見てやろうと思っていたのだが、機体が着地した「ドスン」という衝撃で目が覚めた。惜しい。
「本日はJAL日本航空をご利用くださいまして、まことにありがとうございます」うんぬんとスチュワーデスの一番偉い人(チーフなんとかと言うのだが忘れた)がアナウンスしている間にも、客はぞろぞろを出ていくのだが、出るときに、まだアナウンスを続ける、その「一番偉いスチュワーデスさん」と目が合ってしまった。加藤登紀子とそっくりだった。一瞬「美智子皇后」って単語が出てきたので「皇后には似てないのに」と思ったのだが、たぶん機内で、雅子皇太子妃殿下の誕生日のお言葉、とかいうを見たから皇室関係ネタが出てきたんだろう。
関西空港は、横に長すぎます。とてつもない距離を歩きました。
しかもJR鈍行でいくと1時間以上かかるので、南海鉄道の特急ラピートαに乗ってみました。先頭車両は鉄人28号の顔をしているそうだけど、見に行く暇がなかった。なんか、妙に高級な車内の雰囲気と、デッキに謎なBGMがかかっているのが不気味です。しかも、オイラの背後の座席には謎の中国系青年実業家が座って、30分の間、あっちこっちに電話して何かの値段を交渉していました。低く押し殺した声で、呟かれる中国語は不気味でした。時たま相手が数字を間違えるのか「イッセンマン!」とか「ナナセンマン!」とか日本語使うのが怖かったです。って、本当は中国語が怖かったのではなくて、その実業家の顔が怖かったのですが。
秘密任務。
ぶしゅうううううう(ちまみれ)。
梅田地下街をさまよい歩き、串カツ屋に入り込み、欲望のままに串カツを食いまくる。
「食欲は欲望ではなく、欲求である」と、ツッコミが来そうだな。そうその通りあなたは正しいが、オイラは「欲望のままに食べる」という表現のほうが好きだ。と、書いたが、どう違うのか忘れてしまった。ぐえ。
「いらしゃーい。おにーちゃん、何飲む?」
「みず」
「みずぅう!?」
おばちゃんの非難は聞こえないフリ。ちゃんと氷水が出てきた。鉄の味がした。
気をとりなおして、秘密任務その2。
ぶしゅうううううううう(大出血)。
かなり途方にくれながら、くいだおれ人形をデジカメまるために、地下鉄に乗って道頓堀まで、出る。くいだおれ太郎(次郎だったかもしれんが)を激写。ついでに、かに道楽を東店、中店、西店と激写。グリコは、もぉ無い。キムタコ焼きは売り切れ。
道行く女の子らは、みな大阪弁で喋っているが、あまりコテコテでもなかった。せっかくミナミに来たんやさかい、コテコテの大阪弁が聞きたいやんけ。というのは、田舎者の無いものねだりなのだろうか。
天下一品ラーメンを食べる。うーん濃さは、なんということないが、スープがどろどろしてて密度が高いのと、メンマの味が強烈なのが、ちょっと困った。ところで仙台で食べた「天下一品」とは全然味がちがったのだが、天下一品ってのは何系列もあるのか?
19:28の「のぞみ」に乗って帰ろうと思ったら、一時間後の「のぞみ」は500系だった。ロッテリアで1時間つぶして、500系に乗ることにする。
ホームに滑り込んでくる500系「のぞみ」は、思わず笑ってしまうぐらい、かっこいい。かっこよすぎて、恥ずかしくなってくる。けど、なぜかコブラを連想してしまう。
先頭車両ボディ横に
JR 500
WEST JAPAN
というロゴが。どちらかというと「JR WEST 500」とか「JR 500 / JR WEST JAPAN」とか描いてほしい気がするんだけども、500系は英語では何と呼ばれるのだろうか?
SF映画にでも出てきそうな(と書くと、恥ずかしすぎる常套句だな、これは)かっこよすぎるデザインの丸くてテラテラしたボディの開口部に、おみやげ満載したのおじさんおばさんが「もーお世話になっちゃって」「課長によろしくおつたえください」「がっはっは」「##ちゃんによろしくね」「白線の後ろにお下がりください」って群がっている姿は、なんつーか、滑稽というか。ほほえましい一コマというか。おじさんはほぼ完全に酔っぱらいモードが入っているし。
かくいうオイラ自体が、デジカメで500系を激写する偽鉄ちゃんであるだけでなく、おみやげ満載紙袋を右手に、左手には柿の葉寿司弁当とビールを装備して、丸くて丸くて狭い車内に入るやいなやビール飲んでグーグーなのであるから、推して知るべし(何を?>オレ)。
飛行機に比べて新幹線は離陸も旋回も着陸もないので、イベント性に欠ける。しかも、けっこううるさい。だが乱気流で上下動しないので、気が楽だ。あと気圧も変化しないし。ただすれ違う時の衝撃波はけっこう怖い。
小郡と新下関だかの間(ってあってるのかな?)で、ふと目をさますと、かなり遠くの電光看板が、すごい速度で流れて、識別できなかった。「すげー速いなぁ」と車内前方の電光掲示板をみると「ただいま300キロ」と出た。おぉ、これが300キロかー。
新快速でも「小旅行」と感じる、小倉博多間であるが、新幹線だとトイレいって戻る暇もないぐらいあっという間だ。まぁ500系といえども、小倉博多間で300キロは出さないだろうが。
かなりヘロヘロになりながら、仕事場に荷物を置きによる。仕事場から帰る途中、雪が降り始める。うー寒いわけだ。
おみやげは、道頓堀で買った、くいだおれ人形がプリントされた、おこし「またおこし」と、生八つ橋。生八つ橋は京都のお菓子かもしれんが、オレは、生八つ橋が好きなのだ。あきらめてくれ。
つーわけで、日帰りしてみたのだが、きつかった。「日帰りが可能な距離」ではあっても「日帰りする距離」ではないと思い知った。