MOROBOSHI Tomorou's Warp Diary 1998 July 3rd Week Another Side

ネタバレ版
ワープ日記・最新版
ワープ日記・98年7月第3週

980717z[ MOVIE"GODZILLA" / 「ゴジラ」感想 ] ネタバレ版

 つーわけで、「ゴジラ」に関して、ネタバレな話を。。

 ネタバレするので、うっかり来てしまった人は、戻るよろし。

「ゴジラ」「ロストワールド/ジュラシックパーク」がネタバレします。































 では、はじめよう。

穴掘るなぁ!

 四つん這いになって穴ほるなよー、かっこわるいからさー。

 っていうか、かっこいい悪いは、いいとしても、実際問題として、全長60メートルだか100メートルだかのゴジラがあんなスピードで動けるぐらいのでかい穴を、あんなスピードで掘れるもんなのか?

 地下鉄のトンネルって、思った以上にデカイのかもしれないけども、ゴジラが進めるぐらいでかいの? あのゴジラって、ウルトラマンよりもでかいんだぜー。どれぐらいでかいかっていったら......ゴジラぐらい(をーい)。

 って、ニューヨークの地下鉄って、完全伏線化されてて、上下あわせて合計4線分のレールが走ってるわけだから、ゴジラが通れるサイズあるのかもしれない。

 地上でいう所の道路の幅全部がトンネルの幅だとすれば、地上のビルの谷間の道路の幅を通れるゴジラは、トンネルの幅があれば進めるってことだ。

 と、いうわけで、誰かニューヨークの地下鉄のトンネルのサイズと、エメリッヒ・ゴジラの設定上のサイズを教えてください。


 まぁ、地下鉄トンネルはいいとしても、そこから地上への通路を「めきめきめきー! ばきばきばきー!」と、あっさりと作ってしまうゴジラなんだけども、あんなに簡単に壊せるものなのかー? 地面がいくら、すかすかに加工されてるからって、重くて堅いぞ。って、考えたら、道路工事やら地下鉄工事やらの手抜き工事であっさり陥没するぐらいやわやわのヨワヨワなのかも。


 潜水艦の魚雷が味方を撃沈していいのかー!?

 って、実際の魚雷がどうなってるのか知らないから、ああいうことは起こるのかも知れないけれども、「沈黙の艦隊」的な知識なら、味方にぶつかりそうな時には爆発しなくできたりできそうなんだけどなぁ。

 って、あれは「母艦から何メートルまでは起爆しないように」とかいう指示なのかな。

 まぁ、ククライスラービル吹っ飛ばす軍隊だから、何やってもいいんだけど。


「ジュラシックパークするなー!」

 M.S.G.でのベビーゴジラの大群の描写が、まるっきり「ジュラシックパーク」だったのは、何とかして欲しかった。別に、あれをやらなくても、他にやることあっただろうに。

 せっかく「放射能で巨大化した新生物」ってことで、なんでもありになってるのに、「復活した恐竜」と同じことさせるのもったいないと思うんだけどなぁ。

 まぁ、オレが個人的に「執拗に襲ってくるラプトルから逃げまどう人々」っていうジュラシックパークの演出が怖くて嫌いだから、言ってるだけなんだけどね。

 まぁ、「ロストワールド」のラストの「ティラノサウルス大暴れ」ってのがすでに、「これやったら、ゴジラじゃんかよ」ってのをやってるからねぇ。

 本日はここまで。


980715z[ MOVIE"ANDROMEDIA" / 「アンドロメディア」感想 ] ネタバレ版

 つーわけで、「アンドロメディア」に関して、ネタバレな話を。。

 ネタバレするので、うっかり来てしまった人は、戻るよろし。

 ネタバレします。































 では、はじめよう。

「映画瓦版」というページの「アンドロメディア」評がなかなかだ、という話を聞いたので読んでみた。(あ、ネタバレするので注意)。

 えーと、勝手に引用したり要約したりすると(いいのかー?)

  1. 「SPEED主演映画としてよりむしろ、三池崇史監督 の最新作として期待されるであろう作品」
  2. 「AIの目的は、バレンタインの時にユウに愛を告白できなかった心残りの解消、そして、自分にはない死ぬ寸前までの舞の記憶(キスを含む)の補完、である」
  3. 「映画のストーリー上最大の欠点は、アイを狙う謎の組織や、組織とも対立する舞の異母兄の目的が、最後までまったくわからないこと。」
  4. 「アイの存在が、彼らにどんなメリットをもたらすのか。彼らにとってのメリットが、それ以外の人々にどれだけのデメリットになるのか。それがまったくわからない。」
  5. 「クライマックスに登場する大仰な機械の仕組みも謎」
  6. 「舞の異母兄の死もわけがわからない。」
  7. 「アイを守ろうとする仲間たちが、アイの立場にどれだけ親身になっているのかも疑問。」
  8. 「アイの存在をノートパソコンにしてしまったのも疑問。彼女はネットに自由に出入りできるのだから、危なくなったらネットの中に逃げ込めばいいじゃないか。」
と、いうような感じになるだろうか?

 もぉ、実にその通りだ! って感じ。

 1.については、オレはこの監督の他の作品知らないので、何とも言えないけれども、「手を抜いたな」とか「シナリオ気に入らなかったのかな」とかいう評? を見るところをみると、そういうことなのかもね。

 2.は、要約というよりも、オレの意見になってるんだけども、ラストまでの流れで考えると「死にたくない!」とか「私は生きてる!」とかいう雰囲気は全然ないわけで、全体の雰囲気として「心残りを解消して、迷わず成仏したい」という感じだ。おそらく「死んだ人間が、AIとして甦った」というのは、映画製作者らの内部では「幽霊になった」ということのSF的表現にすぎなかったのだろう。だから「時間がない」わけで「成仏したい」わけだ。

 3.は、実にそうだな。まぁ、外人社長の野望は「よくわからんが世界征服」だったようなので、まぁ、わからなくもない。人見博士から「世界を征服してどうするつもりだ?」と聞かれて「わからないが、欲しいのだ」あるいは「わからないから、欲しいのだ」とか答えているあたりが、世界征服野望者の純粋結晶な感じがして、ちょっとナイスな台詞だったな。兄ちゃんハッカーは、脳腫瘍で死にそうな自分を電脳的にいきのびさせるためにAIの技術が必要なわけで、まぁ、わからないことはない。ただ、兄ちゃんハッカーの場合、その目的と以後の行動が、全然つながってないので、そういう意味では、かなり意味不明だ。

 4.も、まぁ、そうだなぁ。とにかく、この映画、SF的背景を説明するのを完全にやめてしまっているからなぁ。人見博士は何も言わずにオリジナルディスクを焼いてしまうし、直後に射殺されてしまうし。竹中直人の銃弾が人見博士を貫くときに画面から流れていたのは「しねしねしね! わはははは、これでもぉ、SF的背景を説明する義務はなくなったぞ。なぜなら、全ての謎は人見博士の死とともに、永遠の謎となったからな! わはは、シナリオ書いた人も、監督も、原作者も、誰も知らないからな。わはははは」という映画製作者サイドの歓喜の声だったんじゃないかなーとか思う。(って、考えすぎ?)

 5.は、まぁ、人格をスキャンする装置なんだろう、ってのはわかるんだけどね。そもそも、舞の記憶をどうやってスキャンしたのか、明確には示されてないわけだから、どうでもいいといえば、どうでもいいというわけだ。ただ、竹中直人の人格スキャンが失敗して発狂してしまう理由が、ちょっとピンと来なかったんだけれども、シナリオを読むと、兄ちゃんハッカーが部室のマシンからクラックをしかけて、失敗させたから、らしいな。説明不足なシーンだと思う。まぁ「悪は滅びる」で説明おわりなんだけども。

 6.これも、わからないといえば、わからないなぁ。マシンが変形して操作者を飲み込むってのは、実は小説版からもってきたイメージなんだな。あと、どういうわけか、兄ちゃんハッカーは「オヤジが死んで、やっとあの人のことが理解できた」と、突如、舞(AI)を守る決心がついて、竹中直人やらデジタルなんとか社やらにクラックを浴びせて、自分は力尽きて死んだわけだ。しかも「自分の死体も、部室マシンも、全部きれいに消えるように」という謎のコマンドを打ち込んで。だから、最後、空っぽの教室になるんだけどね。兄ちゃんハッカーと、あの部室マシンの関係が、かなり謎なんだよなぁ。あれには死んだ母親の人格が、とかいうような設定でもないと、到底、承伏できない。それに、どうして「開かずの間」のパスワードが「MAI」だったのか、説明してもらいたいなぁ。

 7.に関しては、これが一番、描いたら面白い、あるいは面白くない部分なんだけども、時間がないのか、やる気がないのか、そもそも、「AIとの距離をはかりかねる友達」という事態が発生するという認識がないのか、悪党との追いかけっこに終始して、このあたりの描写はない。リカが、「死んだくせにまだユウにつきまとう幽霊」というような認識を抱きつつあるな、というのは、わかるのであるが。洋子やナオに関しては、もぉ、何もないというか。まぁ、これはやればやったで、すごいイヤンな話になるけどね(イジメ問題を真面目に語る映画とか、親友がHIVに感染したときにどうするかという映画とか、そういう話になりかねない)。

 8.に関しては、まぁ、一応「ネット上には捕獲ウィルスがいるから、スタンド・アロン状態にしておかないと、危ない」っていう「設定」だ、と思えば、説明はされているんだけども。まぁ、そういう足かせをつけて、AIの万能性をセーブしたんだけれども、そもそも、あまり真面目に人工知能ネタもネットネタも考えてないみたいなんで、ネットは使いたくなかったんじゃないかな、と。


 結局、AIをノートパソコンに閉じこめて品物(アトム)としてしか取り扱わないんだったら、面白みは若干へるけども、AIの独自性を「自意識を持つソフトウェア」にしないで「自己増殖能力を持つバイオチップ」か何かにした方が、まだ納得しやすかったんじゃないかなぁ? 人見博士が開発した、異端研究の人間の白血球とか脳細胞から培養された自己増殖性のあるバイオチップがあるから、自意識のある人工知能が駆動できる、とか。それなら、ノートパソコンを取り合う争奪戦もわかるし、ネットにつなげば無敵だけど、バイオチップという本体から出ることはできない、っていう制約もあるし。

 あとは、最後に「海に捨てて」じゃなくて「思いでの桜の樹の下に埋めて」とかやって、ノートパソコンの本体つきやぶって、メリメリと桜の木に変身したりすればいいんじゃないかな? 話の途中で、悪い奴らが、思い出の桜を燃やしたりするシーンを入れたりして、ユウが激怒するシーンとか入れといて、思いでの桜が復活するわけよ。で、何も知らない洋子とかがラストで「この桜、生きてたんだね」とか言うのを聞きながら「これは、舞の桜だ」とか、呟くとかね。そうすれば、桜吹雪の中に舞の姿が見えるとかいう描写が引き立つんじゃないかしらん、とか。あー妄想妄想。

 なんか「バイオなにがし」にすれば、どんなインチキも許されると考えてる節があるなぁ>オレ。ま、いいんだけどね。人見博士が死んだ娘の細胞と娘が好きだった思い出の桜の細胞と研究所から盗んできたG細胞を合体させて作った......って、それはビオランテだ。


 とにかく、兄ちゃんハッカーだよなぁ。

 この映画の中で、AIと同じぐらい「何でもできる」能力を持っていて、SF的背景をいくらでも説得力ありありで説明できる能力を持っていそうな人物なのになぁ。

 しかも、映画の中で、ほとんど有効な活動をしないしー。

 やっぱ、人見博士が死んだ後の人見研究所のマシンをクラックしたら、中から、人見博士の遺言映像とか出てきたら、面白かったのになぁ。「サトシ、これをお前が発見している時、私はすでに死んでいるだろう。このプログラムは、お前の質問を解析して用意された画像データを組み合わせて適切な解答を返すようにプログラムされている。しかし、このプログラムはAIと違い、自意識はない。これは、私の遺言ではあっても、私のコピーではない」とか語るとかね。あるいは、兄ちゃんハッカーが、自分のコピーを作るって対話するんだけど、すっげー人工無能っぷりを発揮するコピーに激怒して、消去するシーン作るとかね。あー妄想妄想。


 さて、で、「いいこというなぁ」と思うこの文章の中で、唯一、納得しがたいのが

「現実の舞は間違いなく交通事故で死んでおり、アイはそのコピーでしかない。言って観れば、世界にひとつしかない美術品の、精巧なレプリカみたいなものです。どんなに精巧なレプリカであろうと、本物と同等の価値を持つことはないはずです。
という部分。(強調は引用者=諸星ね)。

 なんというか「本物と見分けがつかなくなるほど精巧なレプリカは、本物と同等の価値を持たないのか?」というのが、クローン人間、レプリカント、アンドロイド、人格移植AIが出てくるSFの「根本命題」だと思う。

「精巧なレプリカを、レプリカであるから、という理由で本物と同等の価値がないと断言できるのか? その根拠は? じゃ『本物』って何? ところで、あなた本物?」ってのが出てくるのが、この手のSFの存在意義というか、ミソなわけで、それをつかまえて「そもそも、レプリカを本物と同等にあつかっているからダメだ」と断じてはいけないでしょう。

 もちろん、個人的な結論として「レプリカは本物ではない」っていう意見を採用するのは、自由なんだけどね。「レプリカは本物ではない」ってのを真理だと思って、そうでない話を展開している作品を測るモノサシにしては、いけないでしょう。

 って、なんか、批評文の著者の服部氏に文句つけてしまったけれども、問題は、服部氏じゃなくて「そのSFのミソを当の『アンドロメディアを作った人』らがなんも自覚してないこと」にあるわけなんだけれども。

 お話の材料としては、実は「メール友達のナオ(ヒトエ)」というのがちゃんと出てくるわけで、ナオを有効に利用すれば「人工知能になってしまった舞は、舞に似ているけど、舞じゃないんだ。偽物なんだ」という、「常識」に対して「メール友達のアタシにしてみれば、舞だろうがAIだろうが、全く同じで区別が付かないんだけど、やっぱりAIは舞じゃないわけ?」という話ができたわけなんだけれども。まぁ、見に来た人をアイデンティティクライシスに落とし込むような映画にする必要はないんだけどもね。

 舞の葬式だからと人見研究所に呼びつけられた時点で、ナオは、舞の顔すら知らない、という状況なわけで、それにもかかわらず、リカと舞とユウの三角関係を、洋子(エリコ)と同じ程度に把握しているぐらい舞には親しい存在だったわけだ。(って、これはシナリオに書いてあるだけで、映画ではちゃんと表現されてないけど)。

 風呂屋の番台で通信している娘、っていう映像が、ものすごく衝撃的だっただけに、もうちょっと活躍して欲しかったぜナオ、ってのが正直な感想なんだけれども。

 まぁ、実はAIは生まれたときにすでに、人見博士によって「本体である舞は死んでいる」ことを聞かされていて、実は、半ば、自分が死んでいること(死ぬべきこと)を納得してしまっているのが、ミソというか、全ての原因だったりするのだ。

 黒沢(竹中直人)の襲撃で、人見研究所からネットに放り出されたAIが考えていたことは「バレンタインの時に伝えられなかった愛をユウに告白すること」だけで、その直後に部室でユウと対面した時にも「バレンタインから4月までの2ヶ月の間の記憶を補完すること」しか望んでいなかったのではないか、と。

 とにかく「死んだはずの自分が生身の人らの前に姿を現すとよくない」という自覚がすでにあったところからして、やっぱり、最後は海の藻屑として消えるより他無しだったのだろうか、と思うのだった。

 と、いうわけで「レプリカは本物ではないのか?」という問こそがミソであるところの「人格移植人工知能SF」でありながら、その問の存在に気付いてなかったごとく、「レプリカは所詮レプリカでしょ」という解答を出してしまって、噛み心地の悪いSFだったなぁ、と。

 シナリオの中では、兄ちゃんハッカー・サトシ君が、リカ(タカコ)をたらしこむ時に「ユウ君は、ただの人工知能を舞だと思いこんでいる。大変危険だ」と語って「ただの人工知能を本物の人間だと思いこむのは間違いで、生身の人間としては危険だ」という「思想」を語っていたりして、すこしはSF問題提起をしていたわけなんだけれども。まぁ、リカをたらし込むための方便だったのかもしれないけどね。そもそも、兄ちゃんハッカーは、自分も人工知能になろうと企んでいたんだと思うのだが。「まだ死ぬわけにはいかない!」って、あの男、何をやり残していたんだろう? 「脳腫瘍で死にたくない!」って以外のことは、一切不明だったんだけども。

 とりあえず、本日は、ここまで。


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