| 000 | 憶えていますか? 初めてあったあの日のことを、そしてあの思い出を… あなたに、あ・い・た・い |
| 001 | え!? |
| 002 | ま、まあ! |
| 003 | 大変!私ったら何て失礼なことを! |
| 004 | あの…、申し訳ありません |
| 005 | 本当にごめんないさい 何てお詫びをしたらいいのか |
| 006 | いえ、そんな… 本当に申し訳ありませんでした ええっと… |
| 007 | え? も、もしかして小学校の時に同級生だった… |
| 008 | ええ、若菜です 嬉しい、わざわざ訪ねてきてくれたのですか? |
| 009 | 本当に久しぶりですねぇ |
| 010 | あ、いけない お爺様が… |
| 011 | お、お爺様、待ってください! この方は私の… |
| 012 | は、はやく、こちらに |
| 013 | ごめんなさいね お爺様、全然昔と変わらないでしょ |
| 014 | あ、お爺様がこっちに来ます 今日の所はお帰りください |
| 015 | いいえ、ご心配には及びません あとで私からちゃあんと説明しておきますから |
| 016 | あ、待って! |
| 017 | それではまた… あ…あの…今度は来る前に…出来ればお電話くださいね |
| 018 | いいえ、大丈夫です |
| 019 | あなたを待つのは少しも苦になりませんから |
| 020 | そうだ、道中は混雑していませんでしたか? |
| 021 | なら良かったです この時期の京都は祇園祭で混雑しますから |
| 022 | 見たいですか?祇園祭 |
| 023 | うふふっ、私もです |
| 024 | ただ…あの…ごめんなさい |
| 025 | お爺様があなたの分の観覧席を用意してくれなくて |
| 026 | あ、でも私の席がありますからあなたがそこでご覧になれば… |
| 027 | え? |
| 028 | ま、まあ |
| 029 | ええ |
| 030 | きゃ |
| 031 | あ… |
| 032 | は、はい |
| 033 | は、はい…でも…あの… |
| 034 | う、腕を… |
| 035 | まあ、う、嬉しいですけど、私たち…まだ… |
| 036 | はあ? |
| 037 | 私、そういう冗談はちょっと |
| 038 | ありがとうございます |
| 039 | うふふっ、私も心強かったです |
| 040 | 今日はとっても楽しかったです |
| 041 | こんなに楽しい祇園祭は初めてでした |
| 042 | また、来年もあなたと一緒にこれたら嬉しいんですけど… |
| 043 | まあ、私ったら勝手なことを… |
| 044 | よかった… |
| 045 | はい、絶対ですよ 心待ちにしていますから |
| 046 | うふっ、よかった |
| 049 | それでは失礼いたします ごきげんよう |
| 050 | いいえ、大丈夫です |
| 051 | あなたを待つのは少しも苦になりませんから |
| 052 | それにしても、今日は暑いですね |
| 053 | でしたら泳ぎに行きませんか? |
| 054 | どうでしょう、きっと気持ちいいですよ |
| 055 | うふ、よかった… はやく行きましょ |
| 056 | あ…お待たせしました |
| 057 | どうかしましたか? |
| 058 | そ…そうですか |
| 059 | さあ、泳ぎましょ! |
| 060 | そうなんですか? それじゃあ私がコーチしてあげますね |
| 061 | ほら、すごく気持ちいいですよ あなたも早く! |
| 062 | こんな風に手を… |
| 063 | 足はすーと水を波立てないように |
| 064 | うふふっ、なんだかさっきから「ふむふむ」ばっかり |
| 065 | ごめんなさい、つい夢中になっちゃって… 私、泳ぐの大好きなんです |
| 066 | ご迷惑じゃなかったですか? |
| 067 | 本当ですか?よかった |
| 068 | は、はい |
| 069 | 今日はとっても楽しかったですね |
| 070 | うふふっ、来年の夏もまた来れたらなぁ |
| 071 | え? うふふ、あなたならきっと大丈夫です 飲み込みが早いから |
| 072 | そんな…ありがとうございます |
| 073 | そうですか… これからは気を付けますね |
| 074 | そんな、もう…知りません |
| 075 | そ、そうですね |
| 076 | 今日は少し疲れましたね |
| 077 | ごめんなさい、つまらなかったですか? |
| 078 | 本当ですか? |
| 079 | なら…いいんですけど… |
| 080 | はい、絶対ですよ 心待ちにしていますから |
| 081 | うふふ、よかった |
| 082 | はい あ、あの! |
| 083 | くれぐれもお気をつけて |
| 084 | それでは失礼いたします ごきげんよう |
| 085 | いいえ、大丈夫です |
| 086 | あなたを待つのは少しも苦になりませんから |
| 087 | 今日はお天気がいいですね |
| 088 | ええ |
| 089 | うふっ、しちゃいましょっか |
| 090 | はい |
| 091 | 嵐山、私も久しぶりです |
| 092 | え?は、はい うふっ、嬉しい |
| 093 | きゃっ |
| 094 | 大丈夫ですか!? |
| 095 | ひっくり返らないでくださいね |
| 096 | そんなの全然平気です とっても楽しかったから |
| 097 | 私、男の子とボートに乗るのに憧れてたんです |
| 098 | ほら、ここからだとよく見えるでしょ? |
| 099 | 昔はよくここで、ひとりボートを眺めてたんです |
| 100 | どのカップルも仲良さそうで、とても羨ましかった |
| 101 | え?そ…そんな… |
| 102 | ごめんなさい まだ、そんな風に思えなくて |
| 103 | 違います!そんなことありません |
| 104 | あなただから…あ |
| 105 | う、うまく言えませんけど…あなただから… だから、一緒にボートに乗りたかったんです |
| 106 | 今日はとっても楽しかったですね |
| 107 | うふふっ、あなたとボートに乗れて嬉しかった |
| 108 | 私たちも仲良さそうに見えたでしょうか |
| 109 | あっ、な、何でもありません |
| 110 | また一緒に乗ってくださいね、ボート |
| 111 | え? |
| 112 | そういう冗談は私嫌いです |
| 113 | 今日は少し疲れましたね |
| 114 | ごめんなさい、あんまり楽しくなかったですか? |
| 115 | 本当に? |
| 116 | なら…いいんですけど |
| 117 | はい、絶対ですよ 心待ちにしていますから |
| 118 | うふふ、よかった |
| 119 | はい あ、あの |
| 120 | くれぐれもお気をつけて |
| 121 | それでは失礼いたします ごきげんよう |
| 122 | ここの本屋さん、大抵のものは揃っているんですよ |
| 123 | うふふ ええ、私、本は大好きなんです |
| 124 | お話の中でならどんな冒険でも出来るでしょ? |
| 125 | わからないことがあったら遠慮をせずに何でも聞いてくださいね |
| 126 | お話の中でならどんな冒険でも出来るから… |
| 127 | ど、どうかしましたか? |
| 128 | なんだか、先程からぼおっとしてるから |
| 129 | そ、そうだったんですか |
| 130 | うふ、昔読んだ本を思い出してたんですね |
| 131 | あ、あの… ごめんなさい、もう迎えの車が |
| 132 | 今日は本当にありがとうございました |
| 133 | また、こちらに来るときにはお電話を頂けますか? |
| 134 | よかった… |
| 135 | あ、それでは失礼します お身体だけはお大事に |
| 136 | いつ来ても、このあたりは落ち着いた佇まいですね |
| 137 | ごめんなさい…とっても嬉しいけど…それは無理なんです |
| 138 | 私、今日のこと、絶対忘れません 私にとってはすごい冒険だったから |
| 139 | これからもずっと仲良くしてくださいね |
| 140 | どうしたんですか? |
| 141 | 何だか、ぼおっとしていたから |
| 142 | え? |
| 143 | はい、憶えててくれたんですね |
| 144 | うふふ、何だか嬉しい |
| 145 | あ、あの… ごめんなさい、もう迎えの車が |
| 146 | 今日は本当にありがとうございました |
| 147 | また、こちらに来るときにはお電話を頂けますか? |
| 148 | よかった… |
| 149 | あ、それでは失礼します お身体だけはお大事に |
| 150 | はい |
| 151 | あの… もしよかったら、家まで送って下さいませんか? |
| 152 | もう少し…ご一緒したいから |
| 153 | はい、今日は留守なんです ですから… |
| 154 | よかった |
| 155 | そうでしょうか |
| 156 | え? |
| 157 | ほ…本当に…入りますか? |
| 158 | 私…何だか怖い 絶対、側を離れないで下さいね |
| 159 | どうかしましたか? |
| 160 | 送って下さってありがとうございました |
| 161 | は、はい |
| 162 | は、はい! うふふ、あなたも憶えていてくれたんですね よかった |
| 163 | 今日は本当にありがとうございました それではこれで |
| 164 | どうぞお気をつけて ごきげんよう |
| 165 | あの…実は… 今日、あなたと一緒に行きたいところがあるんです |
| 166 | 嵐山なんですけど、よろしいですか? |
| 167 | よかった… |
| 168 | うふふっ ここ、よく来る場所なんですよ |
| 169 | でも、あのオルゴールのように美しい音色をしたものは、まだ見かけたことがないんですけど |
| 170 | 憶えていませんか? ふたりでお蔵に潜り込み、お爺様に見つかって、私が罰としてお蔵に閉じこめられてしまったときのことを |
| 171 | 真っ暗なお蔵の中で、心細くて、ただ怖くて怖くて 私、ひとりで泣いていました |
| 172 | でも、あなたは戻って来てくれた 子供しか入れない、お蔵の小さな窓から |
| 173 | それも、私がお腹を空かせてるんじゃないかと心配して大きなおむすびを持って |
| 174 | うふ、嬉しかった 形は悪かったけれどとってもおいしくて… 何よりあなたの優しい心が伝わったから… |
| 175 | そして、月明かりの中、ふたりで偶然見つけたあのオルゴール… |
| 176 | 青白い光の中で、オルゴールが奏でてくれた優しいメロディーは、私にとって今も忘れられない大切な思い出なのです |
| 177 | あなたは、あの頃の私には心から友達と呼べる唯一の人だったから |
| 178 | でも、あの後あなたは突然転校して行ってしまった… |
| 179 | 私、悲しくて、ショックで… それ以来、もう二度とお蔵に入れなくなってしまったんです |
| 180 | だから、あの思い出のオルゴールも探せないまま… |
| 181 | いつか、私と一緒に探してくれませんか? あのオルゴールを |
| 182 | もう、お別れしないといけないんですね |
| 183 | あの、本当に…本当に楽しかったです ありがとうございました |
| 184 | はい…ごめんなさい |
| 185 | それでは、どうか… どうかお元気で |
| 186 | またお会いできる日を心待ちにしています |
| 187 | あ、いいえ 私も今来たところですから |
| 188 | あ、あの… もしよかったら東山のあたりを散策しませんか? |
| 189 | 今日は何だかそんな気分なんです |
| 190 | ええ、それもいいですね |
| 191 | 一般的にはそうですけど… そうだ!面白い所があるんですよ |
| 192 | 行ってみましょ |
| 193 | ええ、縁結びの神様です |
| 194 | そうですね |
| 195 | あ、あんな所に絵馬がたくさん |
| 196 | ほら、こんなにたくさん |
| 197 | こんな風に自然に相手のことを想えるってすごく素敵な事ですね |
| 198 | 私も…いつか… |
| 199 | いいえ、何でも |
| 200 | え? それは…やっぱり…言えません |
| 201 | いいえ、いいんです 私、中学からはずっと女子校でしたし |
| 202 | それに家が厳しいですから、男の方と遊びに行ったことはほとんどないんです |
| 203 | もちろん、おつきあいしたことも |
| 204 | あなたぐらいです、私を誘って下さるのは |
| 205 | え? |
| 206 | うふふっ |
| 207 | そうだ、やってみませんか?恋占い |
| 208 | この石から目をつぶってあちらの石までたどり着けたら恋の願いが叶うんですって |
| 209 | あちらの石の所に立ってて下さいね |
| 210 | では、行きますから |
| 211 | は、はい |
| 212 | あっ |
| 213 | きゃあ! |
| 214 | は、はい ごめんなさい |
| 215 | さあ…一応たどり着けましたから成功だとも言えますし… でも、躓いてしまったから |
| 216 | はい…そうですね、きっと 私、頑張ります |
| 217 | あっ |
| 218 | ごめんなさい 本当は、ちょっと悩んでいたことがあったんです |
| 219 | でも、何だかあなたのおかげで少しだけ元気が出ました |
| 220 | そんなこと…つきあって下さっただけで充分なんです ありがとうございました |
| 221 | あ、それから |
| 222 | 今はまだ言えませんけど、近々大事な相談に乗っていただくかも知れません |
| 223 | ええ、お願いしますね |
| 224 | 遅くなってごめんなさい! |
| 225 | 驚かしてすみません |
| 226 | 実は、これからお見合いがあるんです |
| 227 | はい、お爺様のご命令で |
| 228 | お相手も、綾崎家とは先代からの繋がりのある家柄なので断り切れずに |
| 229 | いえ、帰らないで下さい! |
| 230 | 私、今日はお見合いだとわかっていてあなたとお約束したんですから |
| 231 | あの… その… あなたに相談に乗って貰おうと思って |
| 232 | はい |
| 233 | 自分でも、よくわからないんです 私は小さい頃からお爺様の決めたお相手と結婚する… |
| 234 | そう言われて育ちましたから そうするのが自然かな、とも思うし… で、でも… |
| 235 | 何だか、自分の人生をそんな風に決めてしまっていいのか、とも |
| 236 | そうですよね でも…私は…私は… |
| 237 | そ、それは… |
| 238 | あ… |
| 239 | はい…そうですよね! やっぱり、まだ将来を決めるのは早すぎますよね |
| 240 | 私、今はっきりそれに気がつきました |
| 241 | それに、私は… |
| 242 | いいえ、何でもありません |
| 243 | とにかく、先方にお断りしてきます |
| 244 | いいえ、大丈夫です それに、これはやっぱり私の問題ですから |
| 245 | でも、出来たらここで待っていてくれませんか? 私が戻ってくるまで |
| 246 | それでは、行って来ますね |
| 247 | はぁはぁはぁ… 遅くなってごめんなさい |
| 248 | はい、お断りしてきました |
| 249 | え? |
| 250 | もちろんです あなたに相談して本当によかった |
| 251 | 私が間違っていたんです |
| 252 | 自分の人生を、お爺様の期待に応えるために犠牲にしようなんて考えて |
| 253 | 何より、相手の方に失礼ですよね |
| 254 | だって… 私には… 他に心に想っている人がいるんですから |
| 255 | でも、その方は私のこと、本当はどう想っているのかしら |
| 256 | あ…あの、若菜です |
| 257 | 実は、お願いがあって |
| 258 | 今度、お蔵の美術品が整理されることになったんです それで… |
| 259 | 人の手が入る前にあのオルゴールを… 私、あなたと一緒に探したいんです |
| 260 | 本当ですか?よかった |
| 261 | それではお待ちしていますね |
| 262 | あの、あまり遅くなりますと手遅れになってしまうと思うんです |
| 263 | わかりました 残念ですけど仕方ありませんね それでは失礼します |
| 264 | あ! |
| 265 | いいえ、大丈夫です |
| 266 | 今日はごめんなさい 私のわがままにつきあって貰って |
| 267 | 大丈夫です お爺様、今日は所用で一日外出していますから |
| 268 | は、はい あ、あの… |
| 269 | あなたに、触れていてもいいですか? |
| 270 | 私、お蔵が怖いから出来るだけ側にいて欲しいんです |
| 271 | へ、平気です |
| 272 | は、はい! |
| 273 | 私はあれ以来ですからよくわかりませんけど、年々増えているとお爺様が |
| 274 | はい! |
| 275 | はい… |
| 276 | え? |
| 277 | 本当だ、全然怖くありません |
| 278 | きっと、あなたが一緒だから |
| 279 | いいえ、何でもありません |
| 280 | 急ぎましょ、もうすぐ夕方になっちゃいますから |
| 281 | 見つかりませんね… |
| 282 | あ…いつの間にかもう夜… |
| 283 | あの時と同じ |
| 284 | どうしました? |
| 285 | あ!! |
| 286 | ありました、これです! 間違いありません! |
| 287 | はい!ほら、この音色 |
| 288 | 懐かしい… |
| 289 | ありがとう |
| 290 | 本当にありがとうございます 私の夢を叶えてくれて |
| 291 | いいえ、私にとってはすごく心に残っていたんです このオルゴールが |
| 292 | でも今、久しぶりにこの懐かしい音色を聞いて、私はっきりわかりました |
| 293 | もしかしたら本当は私、このオルゴールが欲しかったわけじゃなかったのかも知れませんね |
| 294 | きっとあなたと一緒にあの時と同じ気持ちになりたくて |
| 295 | ちゃあんとあの時のお礼が言いたくて、私…私… |
| 296 | 本当にありがとう あの時も、そして今日も |
| 297 | 突然でごめんなさい |
| 298 | 電話では伝えられそうもないのでお手紙を書くことにしました |
| 299 | どうしても、もう一度あいたい… |
| 300 | あなたに会って話したいことがあるんです… 待っています かしこ 若菜より |
| 301 | あなたに会って話したいことがあるんです… 待っています |
| 302 | あっ |
| 303 | 来てくれたんですね |
| 304 | 嬉しい… |
| 305 | はい、それなら嵯峨野へでも |
| 306 | はい、あの… 私…私…あなたに謝らなくてはいけないんです |
| 307 | 憶えていませんか? 去年の春、あなたのうちに届いた不思議な手紙のことを |
| 308 | はい |
| 309 | 私、本当はあなたに会いに東京まで行ったんです |
| 310 | でも、直前になって思い直して、やっぱり会わずに帰ろうと |
| 311 | あなたにはとんでもなく迷惑な事じゃないかと思ったから |
| 312 | それでもあきらめきれずに手紙だけ残して |
| 313 | 本当にごめんなさい |
| 314 | お、怒ってないんですか? |
| 315 | よかった… |
| 316 | それと、もう一つ |
| 317 | ずっと、今まであなたに言えなかった言葉があるんです |
| 318 | 私…私…あなたが好きです! 大好きなんです! |
| 319 | 家が厳しかったから、ほとんどお友達がいなかった私に、あなたは普通に接してくれました |
| 320 | これからも、ずっと仲良くして下さいね |
| 321 | すごく嬉しかった… あなたに手を引かれて祇園の街を走ったときも |
| 322 | 私、今日のこと、絶対忘れません 私にとってはすごい冒険だったから |
| 323 | そして、ふたりで一緒にお蔵に潜り込んだときも |
| 324 | 本当は、すごくどきどきしていたんです 私にとってはものすごい冒険だったから |
| 325 | 想えばあの頃から、私、あなたに憧れていたんです |
| 326 | でも、その気持ちに気付いたのはあなたが転校していった後でした |
| 327 | 今ならはっきり言えます |
| 328 | 私はあなたが好きです 今も昔も、誰よりもあなたが輝いて見えるんです |
| 329 | あなたは… あなたは私のこと、どう思っていますか? |
| 330 | 聞かせて下さい どんな結果になろうと、私、後悔はしませんから |
| 331 | え? |
| 332 | ほ、本当ですか? |
| 333 | ほ、本当に… 本当に、そんな風に思ってくれてるんですか? |
| 334 | う…嬉しい |
| 335 | あっ |
| 336 | ずっと…こうしていたい… |
| 337 | だって…すごく幸せだから こんな風にあなたと、気持ちが通じ合えるなんて |
| 338 | は、はい |
| 339 | あっ |
| 340 | そんな…当たり前のことです 大切な方をお見送りするのは女の大事な役目ですから |
| 341 | でも、寂しいですから出来るだけ早く会いに来て下さいね |
| 342 | 遠慮はいりません もう、お爺様にも公認の許嫁なんですから |
| 343 | はい 昨日の夜、お爺様に全てお話ししたんです |
| 344 | もしかして…嫌なんですか?許嫁 |
| 345 | よかった… 私、もうあなたなしでは生きては行けませんから |
| 346 | あ、そうでした これを… |
| 347 | はい、お守り代わりに持っていて下さい |
| 348 | くれぐれもお元気で |
| 349 | 毎日、電話を入れますから |
| 350 | 風邪なんか引いたら駄目ですよ もうあなたひとりの身体じゃないんですから |
| 351 | あなたには、あなたのことを心配する女性がいるんですからね |
| 352 | あ |
| 353 | ええ、大丈夫です せっかくあなたが誘って下さったんだし |
| 354 | でも、お話というのは? |
| 355 | え? |
| 356 | わ、私は… |
| 357 | 私は… |
| 358 | あ、あの、その前にもう一度あなたの気持ちを教えて下さい |
| 359 | は、はい あの時はとても恥ずかしくて… |
| 360 | あ… |
| 361 | 私も、もちろん好きです あなたが大好きです 誰よりも大切に思っています |
| 362 | あのお見合いの時、あなたに相談したのだって、本当は止めて貰いたかったんです |
| 363 | それを、あなたからズバリと言い当てられて… 私…私、心に決めたんです |
| 364 | 私が生涯愛する男性はあなただけだって |
| 365 | そうだ、これを見て下さい |
| 366 | はい、もう一度ひとりでこの神社に来て書いたんです |
| 367 | 私、今、すごく幸せです ちゃあんとこうして願いも叶ったし |
| 368 | はい、これからは毎年、お礼参りに来ましょうね |
| 369 | 私はこれからもずっとずっとあなただけを愛し続けますから |
| 370 | うふふっ… だ・い・す・き |
| 371 | ごめんなさい… やっぱり、駄目みたいです |
| 372 | 私、おそらくあなたの気持ちにはお応えできません |
| 373 | あなたは友人としては大好きな方ですけど |
| 374 | それだけで、生涯を共にするまでは |
| 375 | いいえ、私、不器用ですから |
| 376 | もっと、お互いのことを知り合えればよかったのかも知れませんね |
| 377 | ごめんなさい… |
| 378 | 京都は…遠かったですか? |
| 379 | これからも、よいお友達ではいて下さいね |
| 380 | はい、綾崎でございます |
| 381 | あ、うふふっ、嬉しい お電話お待ちしてました |
| 382 | はい、何か? |
| 383 | あ、会えない? それは、どういうことですか? |
| 384 | そんな、急に、あんまりです! いきなりそんなことを言い出すなんて |
| 385 | あっ、待って下さい! |
| 386 | あ |
| 387 | 来ては迷惑だとは思ったのですが、どうにも気持ちを抑え切れずに |
| 388 | 酷すぎます 急に、もう会えないなんて |
| 389 | きちんと理由を教えて下さい どうしてなんですか? |
| 390 | そ…そうでしたか… わかりました… ごめんなさい、もう二度とご迷惑はおかけしませんから |
| 391 | 今まで、ありがとうございました さようなら |
| 392 | いえ、もういいんです そのことでしたら |
| 393 | だって今日、こうして来てくれたんですから |
| 394 | あ、そうそう |
| 395 | 先日は結構なものを送っていただいて |
| 396 | はい、とっても あの、本当にありがとうございました |
| 397 | はい、でもあまり気を使わないで下さいね |
| 398 | ところで、あの、体を鍛えてるんですか? |
| 399 | はい うふふっ、何だかとっても健康そうですね |
| 400 | ところで、なんだか今日は少し大人っぽく見えますけど |
| 401 | はい、あの…素敵だと思います |
| 402 | ところで、今日はなんだか男らしく見えますよ |
| 403 | ええ、少し うふふっ |
| 404 | こんにちわ |
| 405 | いいえ、時間どおりですから… うふふっ、お元気そうですね、安心しました |
| 406 | でも、本当にまた来てくださったなんて、まだ信じられません |
| 407 | ふふっ なんだか、これから毎日が楽しくなりそう |
| 408 | あっ、もう着いたんですね |
| 409 | はい、存じてます 大事無くて何よりでしたね |
| 410 | あっ、こんにちわ ずいぶん遅くなったんですね |
| 411 | いえ、何かあったのかと少し心配になりましたけど… でも、ご無事で何よりです |
| 412 | あ、あなたは… |
| 413 | こちらにいらしてたんですか こんなところで会うなんて、思ってもいませんでした |
| 414 | あ、はい 少しなら… ご一緒して頂けるんですか? |
| 415 | うふっ、ありがとうごぁいます |
| 416 | でも、よかった… |
| 417 | また来てくださるかどうか、正直言って不安でしたから |
| 418 | あっ!ここですよ! |
| 419 | いいえ、私が早く来ただけですから |
| 420 | それに、あなたを待つのは少しも苦になりません |
| 421 | あっ |
| 422 | はい、私もニュースを聞いて心配していたんです |
| 423 | でも、よかった 大変だったんじゃないですか? |
| 424 | あっ、よかった ご無事だったんですね 心配してたんですよ |
| 425 | うふっ、いいんです ちゃあんとこうして、来てくださったんですから |
| 426 | あの、もしかして… |
| 427 | やっぱり… こちらにいらしてたんですね |
| 428 | ま、まあ… でしたら、今日もご一緒して頂けるんですか? |
| 429 | はい、今日は特に何もありませんから |
| 430 | よかった、ご一緒できますね |
| 431 | あっ |
| 432 | …やっと会えましたね |
| 433 | 私、約束してからずっと待ち遠しくて |
| 434 | や、やだ 私ったら… 恥ずかしい… |
| 435 | あっ |
| 436 | はい… 私、もしもあなたがこのまま来れなくなったらどうしようかと… |
| 437 | でも、よかった… やっとお会いできました |
| 438 | あっ |
| 439 | もう、来てくれないのかと思いました |
| 440 | なぁんて、嘘ですよ 私…あなたを信じてますから |
| 441 | でも、あんまり心配はさせないでくださいね |
| 442 | あっ |
| 443 | 私、不器用だから… あなたが何の理由もなく約束を破るとは思えなくて… |
| 444 | もういいんです あなたに何事もなければそれで… |
| 445 | あの、今日はこれで… ごめんなさい |
| 446 | 先ほど、家のほうに電話を入れまして事情を話しましたら、お爺様が… |
| 447 | その…怒っていらして、すぐに帰ってくるようにと… |
| 448 | あなたが、もう少しだけ早く来てくれていたら… |
| 449 | いえ… |
| 450 | と、とにかく… あの 残念ですけど、又の機会に |
| 451 | あっ |
| 452 | やっぱり… また、京都に来てくれたんですね |
| 453 | は、はい 私の都合なら、少しも構いません |
| 454 | またご一緒できるなんて… あの、嬉しいです |
| 455 | それで、あの… |
| 456 | これを… |
| 457 | クリスマスプレゼントです 受け取ってもらえますか? |
| 458 | そんな… とんでもありません |
| 459 | それで…あの… 私、こういうのは生まれて創めてなんですけど… |
| 460 | これを… |
| 461 | チョコレートです ほら、あのバレンタインデーの |
| 462 | はい |
| 463 | それで、これからどうしましょうか |
| 464 | せっかくですから、この辺りに寄っていきますか? |
| 465 | じゃあ、行きましょ |
| 466 | それで、これからどうしましょうか |
| 467 | せっかくですから、どこか他の所に行きましょうか |
| 468 | はい、喜んでお供します |
| 469 | 実は、私もあまり登ったことがなくて |
| 470 | なんだか、すごく楽しみです |
| 471 | まあ、なんて広い |
| 472 | 素敵な眺めですね |
| 473 | え? |
| 474 | あ、私、高いところは全然平気なんです |
| 475 | ただ、あの… 暗くて狭いところはちょっと… |
| 476 | そうですか? |
| 477 | お爺様には、情けないって怒られるんですけど |
| 478 | それは… |
| 479 | いえ、あの… 何でもありません |
| 480 | そういう事を言っているのではないんですけど |
| 481 | はい、もう少しくらいなら平気です |
| 482 | そうだ、お散歩でもしませんか? この辺りには有名なお寺もたくさんありますから |
| 483 | よかった 私、お寺を巡るのって大好きなんです |
| 484 | あなたと一緒に廻れたらなって、思ったことも… |
| 485 | あ、やだ 私ったら、ごめんなさい |
| 486 | あっ |
| 487 | ごめんなさい、迎えの者が来てしまいました |
| 488 | 今日はとても楽しかったです ありがとうございました |
| 489 | あ、くれぐれもお気をつけて お身体を、お大事になさってくださいね |
| 490 | それでは、失礼します |
| 491 | そうなんですか? 私はよく知りませんけど |
| 492 | はい、こういった場所にはあまり来ませんので |
| 493 | はい、お供します |
| 494 | そうですね |
| 495 | 私、お魚屋さんやお肉屋さんを自分の目で見るのは初めてです |
| 496 | いつも、御用聞きさんが届けてくれますので |
| 497 | お魚って、切り身でも売っているんですね 驚きました |
| 498 | うふふっ、なんだか楽しい |
| 499 | いろいろ新鮮な驚きがありますし、それに… |
| 500 | こうしていると、あなたと二人でお夕飯のお買い物をしているみたいですから |
| 501 | あ、あの どうかなさいましたか? |
| 502 | そうですか |
| 503 | そ、そんなことしたら、お爺様に叱られます |
| 504 | いけません、もう |
| 505 | あっ、ごめんんなさい お供が私だけではつまらないですよね |
| 506 | あっ |
| 507 | ごめんなさい、迎えの者が来てしまいました |
| 508 | 今日はとても楽しかったです ありがとうございました |
| 509 | あ、くれぐれもお気をつけて お身体をお大事になさってくださいね |
| 510 | それでは、失礼いたします |
| 511 | そうですね、あなたがそうおっしゃるなら |
| 512 | お任せします |
| 513 | やっぱりこういう時は、男の人にお任せするものなんでしょう? |
| 514 | はい、お供します |
| 515 | 紅茶のいい香り… |
| 516 | それに、なんだかとっても落ち着きますね |
| 517 | 私、ちょっと人込みは苦手なものですから |
| 518 | あっ、でも… |
| 519 | そばに楽しい方がいてくれると、そんなことは忘れてしまうんですけど… 不思議なものですね |
| 520 | あ、あの… ごめんなさい、もう迎えの車が… |
| 521 | 今日は本当にありがとうございました |
| 522 | またこちらにくる時には、お電話を頂けますか? |
| 523 | よかった… |
| 524 | あ、それでは失礼します お身体だけはお大事に |
| 525 | うふふっ、静かで風情があると思いませんか? |
| 526 | 私、この辺りにはひとりでもよく来るんです |
| 527 | こうして耳を澄ますと、聞こえませんか? |
| 528 | ほら、お寺の鐘の音が… |
| 529 | なんだか、心が落ち着くでしょ? |
| 530 | あ、あの… ごめんなさい、もう迎えの車が… |
| 531 | 今日は本当にありがとうございました |
| 532 | またこちらにくる時には、お電話を頂けますか? |
| 533 | よかった… |
| 534 | あ、それでは失礼します お身体だけはお大事に |
| 535 | これから、どちらへ? |
| 536 | はい、あまり… 年に一度くらいは来ますけど |
| 537 | 普段のお買い物は、お手伝いさんが済ますことが多いですから |
| 538 | あ、時々学校のお友達に連れてきてもらうことはありますけど |
| 539 | でも、それもたまにしか… |
| 540 | ですから私 |
| 541 | あなたに色々な所へ連れてきてもらうことが、とても楽しみなんです |
| 542 | あ、もう少しで鴨川が… |
| 543 | いえ、あの… その… |
| 544 | お、お友達に聞いたんですけど… |
| 545 | こ、恋人ができたらこの辺りに来て、川を眺めることに決まっているそうです |
| 546 | は、はい… |
| 547 | あ、あの |
| 548 | あ… はっ、はい そうですね、そうしましょ |
| 549 | はぁ? |
| 550 | …はあ、泳ぐのは好きですけど… |
| 551 | え? |
| 552 | は、はい お付き合いします |
| 553 | はい! |
| 554 | あ、すいません あの、私… そろそろ時間ですので |
| 555 | 断ってしまいました なんだか邪魔をされているような気がしたもので |
| 556 | うふっ、そこまでお見送りしますから |
| 557 | 本当に、今日は楽しかったです また来てくださいね |
| 558 | お電話、楽しみに待っています |
| 559 | それでは、どうかお元気で |
| 560 | あ、くれぐれも気を付けてお帰りくださいね |
| 561 | とっても情緒のある町なんですよね 私、大好きなんです |
| 562 | それに、恥ずかしながら… |
| 563 | おいしい甘味や懐石のお店もたくさんありますから |
| 564 | そうだ、ご一緒に行ってみませんか? |
| 565 | でしたら、あちらです 行きましょ |
| 566 | はい、近道なんです |
| 567 | そんな、詳しいというほどでは |
| 568 | ただ、この辺りは私がよく知っている数少ない場所の一つなんです |
| 569 | お爺様もよくご存知なので、私がひとりで歩き回っても怒られなかったものですから |
| 570 | 初めてひとりで来た時には、すごくドキドキして… |
| 571 | うふふっ、なんだか探検をしているような気分でした |
| 572 | いえ、迷いました |
| 573 | 最初のうちは何度も迷って、よくお店の人に保護されて… それでお店を覚えたんです |
| 574 | そうですよね |
| 575 | 探検してたんですね |
| 576 | 知らない街… うふふっ、いいですね なんだか楽しそうで |
| 577 | は? |
| 578 | あ… はい、そうですね |
| 579 | あ、そうだ さっきの角を曲がるんでした |
| 580 | 私、思い出に浸ってしまって… ごめんなさいね |
| 581 | そうでしょう? よかった、気に入って頂けて |
| 582 | あら? |
| 583 | ほら、どこからか琴の音が… |
| 684 | きれいな音色… |
| 685 | うふふっ、こうしてあなたと耳を澄ましていると、昔のことを思い出しますね |
| 586 | 本当に今日は楽しかったです また来てくださいね |
| 587 | お電話、楽しみに待っています |
| 588 | それでは、どうかお元気で |
| 589 | あ、くれぐれも気を付けてお帰りくださいね |
| 590 | やっぱり、違うものですね |
| 591 | 毎日自分が暮らしている街でも、こうして上から見るとなんだか知らない街みたいです |
| 592 | うふふ、この風景… |
| 593 | あなたに教えてもらったようなものですね |
| 594 | あの頃もそうでしたよね あなたは私の知らない遊びをたくさん教えてくれて |
| 595 | それでまた、お爺様に怒られて |
| 596 | はい、そうでしたよ |
| 597 | 私、今も教えられてばかりですね |
| 598 | はい |
| 599 | もうすこし、ゆっくりさせてくれてもいいのに… |
| 600 | あっ な、なんでもありません |
| 601 | それではごめんなさい 私はこれで… |
| 602 | お風邪など、召しませんように |
| 603 | うふふふっ、ただぶらぶら歩くだけでもこんなに楽しいなんて |
| 604 | 私、今まで知りませんでした |
| 605 | はい、あなたと一緒だと何もかもが新鮮に感じられるんです |
| 606 | あはっ やだ、私ったら |
| 607 | あっ、こんな所に神社が |
| 608 | 折角ですから、一緒にお参りして行きましょ |
| 609 | はい |
| 610 | もう少し、ゆっくりさせてくれてもいいのに… |
| 611 | あ な、なんでもありません |
| 612 | そ、それではごめんなさい 私はこれで |
| 613 | お風邪など、召しませんように |
| 614 | 今日は、どちらへ? |
| 615 | 私は、どちらへでも構いません だって…あなたと… |
| 616 | いえ、いいんです |
| 617 | そうですね |
| 618 | うふっ、あなたも東京からのお客様じゃありませんか |
| 619 | は…はい |
| 620 | 私も、いつもあなたが来ることばかりを考えています |
| 621 | 本当に? |
| 622 | 私も、常々この町に生まれてよかったと思っています |
| 623 | まあ、そうだったんですか それでは今度、学者さんをお招きしないと |
| 624 | はい… |
| 625 | あの…少しここで待っててもらえますか? |
| 626 | お待たせしました もう少し遅くなっても構わないそうです |
| 627 | だって…今度はいつ会えるか… |
| 628 | だから、もう少しだけ一緒にいさせてください |
| 629 | はい |
| 630 | そろそろ帰らないと、まずいでしょうか |
| 631 | もう少し…もう少しだけ、駄目でしょうか… |
| 632 | はい、そうですね あの…私は…若菜は… |
| 633 | いつも、あなたからのお電話を待っていますから |
| 634 | はい |
| 635 | それでは、くれぐれもお身体をお大切に どうか…どうかお元気で |
| 636 | そうでした あ、あの、これを |
| 637 | 私からのプレゼントです 京都のお土産に |
| 638 | どうですか? |
| 639 | はい、生まれて初めてアルバイトをして買ったんです |
| 640 | あ、アルバイトといっても、お庭をお掃除したりお爺様の肩を揉んだりして |
| 641 | そのお駄賃を貯めただけなんですけどね 綾崎家はアルバイト禁止ですので |
| 642 | 私のお部屋にも、同じ時計があるんですよ |
| 643 | うふっ、思い切って同じ物を二つ買ったから |
| 644 | あの、もしご迷惑でなければ使ってくださいね |
| 645 | はい |
| 646 | あの…少しここで待っててもらえますか? |
| 647 | お待たせしました もう少し遅くなっても構わないそうです |
| 648 | だって…今度はいつ会えるか… |
| 649 | だから、もう少しだけ一緒にいさせてください |
| 650 | はい |
| 651 | そ、そんな!とんでもないです 東京からここまで来るのも大変なのに |
| 652 | そ、それに…私が勝手にあなたと同じ時計を使いたいと… |
| 653 | あなたのお部屋にも、同じ時計があると思えるだけで嬉しいですから |
| 654 | まあ |
| 655 | うふふっ、それでしたらありがたく頂きますね |
| 656 | 小さい頃、こういうお菓子はなかなか食べさせてもらえなくて、私、憧れていたんです |
| 657 | ご、ごめんなさい 私、使えませんし、お礼を頂くつもりでは… |
| 658 | よかった、何か頂くとかえって申し訳ないから |
| 659 | 時計を使ってもらえれば、私はそれだけでいいんです |
| 660 | そろそろ帰らないと、まずいでしょうか |
| 661 | もう少し…もう少しだけ、駄目でしょうか… |
| 662 | はい、そうですね あの…私は…若菜は… |
| 663 | いつも、あなたからのお電話を待っていますから |
| 664 | はい |
| 665 | それでは、くれぐれもお身体をお大切に どうか…どうかお元気で |
| 666 | ふう |
| 667 | こうして、ゆっくりとお散歩しているだけで、私、とっても幸せです |
| 668 | 鐘の音と、暖かい木漏れ日と… |
| 669 | そして、何より隣に… |
| 670 | あ…あの もう少しそちらに行っても、いいですか? |
| 671 | なんだか |
| 672 | 心が安らぐような、高鳴るような、不思議な気持ちがします |
| 673 | もう、お別れしないといけないんですね |
| 674 | あの、本当に…本当に楽しかったです ありがとうございました |
| 675 | はい、ごめんなさい |
| 676 | それでは、どうか…どうかお元気で |
| 677 | またお会いできる日を、心待ちにしています |
| 678 | 本当に |
| 679 | あなたがたくさん来てくれましたから |
| 680 | あなたと再会できてから、いろんな事がありましたね |
| 681 | 私、きっとこの高校生活最後の一年のことを、一生忘れないと思います |
| 682 | また、あなたに出会えたこと そして… |
| 683 | あなたが、あの頃と同じ優しさで私を包んでくれたこと |
| 684 | うふっ、また私の手を引っ張ってどこかへ連れていってくださいね |
| 685 | どこへでも、お供しますから |
| 686 | もう、お別れしないといけないんですね |
| 687 | あの、本当に…本当に楽しかったです ありがとうございました |
| 688 | はい、ごめんなさい |
| 689 | それでは、どうか…どうかお元気で |
| 690 | またお会いできる日を、心待ちにしています |
| 691 | あ、あの すみません |
| 692 | まあやっぱり、やっぱりあなたでしたか |
| 693 | はい、所用で少し帰りが遅くなってしまったんですけど |
| 694 | あなたを見かけて、急いで車を止めてもらったんです |
| 695 | それにしても、まさかこんな所でお会いできるなんて思いませんでした |
| 696 | そうだ、あなたは何をしてらしたんですか? |
| 697 | そ、そうなんですか? あの…ありがとうございます |
| 698 | はあ、そうなんですか |
| 699 | まあ、それではお供させて頂いてもよろしいですか? |
| 700 | はい、せっかくですから |
| 701 | とってもきれいでしたね |
| 702 | 帰りが、遅くなってよかった |
| 703 | それでは、あまり運転手さんに待って頂くわけにもいきませんから |
| 704 | お会いできて、嬉しかったです お気を付けて、お帰りくださいね |
| 705 | では、失礼します |
| 706 | あ、あの すみません |
| 707 | はい、私です こちらに来ていたんですね |
| 708 | はい、私はお爺様にお食事に連れてきて頂いたんです |
| 709 | うふふっ、そうですね、花街ですから |
| 710 | あ、ほら、あちらに舞子さんがいますよ |
| 711 | きれいですよね… |
| 712 | そ、そうでしょうか あんな風に和服の似合う女性に、憧れてはいるんですけど |
| 713 | まあ、うふっ 残念ですけど、持っていないものですから |
| 714 | 駄目ですよ そんな事言ったら舞子さんに失礼です |
| 715 | あ、いけない お爺様がお店から… |
| 716 | ごめんなさい、せっかくお会いできたのに |
| 717 | また今度、お電話してくださいね |
| 718 | あ、あの すみません |
| 719 | まあ、やっぱり |
| 720 | うふっ、大丈夫です 歌舞伎を見に来た帰りですから |
| 721 | お爺様も大好きなので、歌舞伎見物の時だけは特別なんです |
| 722 | はい |
| 723 | あ、あの…ごめんなさい 帰る時間を言ってきたものですから |
| 724 | あ、いそがないと |
| 725 | すいません また今度、お電話くださいね |
| 726 | では、失礼します |
| 727 | よかった… ひとりでちょっと不安だったんです |
| 728 | はい |
| 729 | ごめんなさい、本当に助かりました |
| 730 | うふふ、あなたはいつも助けに来てくれる… |
| 731 | あ、いえ…あの… |
| 732 | また今度、ゆっくり会ってもらえますか? |
| 733 | よかった、楽しみにしていますね それでは、気を付けてお帰りくださいね |
| 734 | はい、おやすみなさい |
| 735 | あ |
| 736 | まあ、こちらに来ていたんですね |
| 737 | 教えてくだされば、お迎えに行きましたのに |
| 738 | あ…ごめんなさい それが…私、所用の途中なもので |
| 739 | とっても残念です せっかくこうしてお会いできたのに |
| 740 | そうだ、どうして教えてくれなかったんですか? |
| 741 | うふっ、本当にびっくりしました |
| 742 | でも、私はもっとゆっくり過ごしたかったです |
| 743 | あ… |
| 744 | いけない、もう行かないと |
| 745 | 私のほうこそごめんなさい 必ず、また会いに来てくださいね |
| 746 | はい、どうかお気を付けて |
| 747 | 実は、お爺様からのお言付けで、お茶請けの干菓子を買いに行く途中なのです |
| 748 | そうですね…私も残念です |
| 749 | そうだ、それならいつかまた、二人でここに来ませんか? |
| 750 | うふふっ、よかった では私、その日を楽しみにしていますね |
| 751 | あ、今日は…あの、もう |
| 752 | ごめんなさい どうぞ、気を悪くしないでくださいね |
| 753 | きっと、また会いに来てくださいね 約束ですよ |
| 754 | それでは、失礼します |
| 755 | あ、お気を付けてお帰りくださいね |
| 756 | まあ、あなたは |
| 757 | まさか、こちらに来ていらしたなんて |
| 758 | まあ、そのようなこと… いけません、もう |
| 759 | あ、でも…私、今日はお爺様のお使いで |
| 760 | はい、せっかくお会いできたのに、ご一緒できなくてとても残念です |
| 761 | はい、その時はぜひともお供させてくださいね |
| 762 | 私、本当にこの辺りの雰囲気が大好きなんです |
| 763 | 時間が、とてもゆったりと流れているようで |
| 764 | あ、でも今日はあまりゆったりしているわけには |
| 765 | いいえ、引き止めてくださってよかった |
| 766 | おかげで、あなたと少しですけどお話することができましたから |
| 767 | でも、もうそろそろ行かないと ごめんなさい、お名残惜しいんですけどこれで |
| 768 | どうかお気を付けて お電話お待ちしていますからね |
| 769 | はい、お届け物です |
| 770 | 何でも、お知り合いに茶器をお譲りになるとか |
| 771 | はい、お届け物ですから |
| 772 | そうですね、せっかくお会いできたのに残念ですけど |
| 773 | では、行って参ります |
| 774 | あの、また近々お会いできますよね |
| 775 | よかった、お待ちしていますね |
| 776 | はい、お帰りの道中、どうぞお気を付けて |
| 777 | あっ |
| 778 | まあ、こちらに来ていらしたんですね |
| 779 | あ、でも私、今日はこれから部活動が |
| 780 | はい、弓道です |
| 781 | とっても心が落ち着きますよ そうだ、あなたもやってみますか? |
| 782 | そんなことはないと思いますけど |
| 783 | あ、そういえば私も、最近心が乱れることが多くて |
| 784 | それは… |
| 786 | もう、知りません |
| 787 | あ、そろそろ時間が |
| 788 | いいえ、大丈夫です 今からでも急げば間に合いますから |
| 789 | お会いできてよかった 少しの間でしたけど、とっても楽しかったです |
| 790 | それでは、これで |
| 791 | はいっ |
| 792 | あの、す、すいません |
| 793 | まあ、やっぱり |
| 794 | はい、親戚がこちらにいるものですから |
| 795 | あなたも、ご旅行ですか? |
| 796 | ふう、この当りも風情があっていいですね |
| 797 | 私、金沢ではこの辺りが一番好きなんです |
| 798 | 小さい頃から、金沢に来るたびにこちらに寄せて頂いて、幽玄の趣を楽しんでいました |
| 799 | その場所で、こうして偶然あなたに出会えるなんて |
| 800 | なんだか不思議な、ご縁を感じますね |
| 801 | あ、あの… |
| 802 | 静かですね |
| 803 | ま、まあ |
| 804 | 私の手でよろしければ |
| 805 | たあっ! |
| 806 | あ、ごめんなさい つい…大丈夫ですか? |
| 807 | あ、そろそろ戻らないと親戚の方が心配しているかも |
| 808 | あの、今日は思わぬところでお会いできて、とても嬉しかったです |
| 809 | また京都でも、お会いして頂けますか? |
| 810 | よかった… では、本日はこれにて失礼致します |
| 811 | どうか、よい旅を |
| 812 | まあ |
| 813 | はい、私です うふふっ、奇遇ですねぇ ご旅行ですか? |
| 814 | はい、私はお爺様の御所用のお供をしているんですけど |
| 815 | でも、すごいんですね おひとりなんでしょ? |
| 816 | 私、ひとりではとても飛行機など乗れませんから |
| 817 | あなたは、おひとりでどこへでも行けるんですね |
| 818 | ご自分で決めて、ご自分の力で |
| 819 | あ、ありがとうございます |
| 820 | あなたにそういわれると、なんだか本当にできるような気がします |
| 821 | そうでしょうか 私にはとても… |
| 822 | そ、それくらいわかってます |
| 823 | ご、ごめんなさい お忙しいところを |
| 824 | はい、私も |
| 825 | あ、あの、お急ぎになったほうが |
| 826 | お気を付けて |
| 827 | 行ってらっしゃい |
| 828 | あ、あの、すいません |
| 829 | やっぱり…お元気でしたか? |
| 830 | はい、お爺様のお供で |
| 831 | なんでも、歌舞伎役者のご友人がいらっしゃるとか |
| 832 | もしかしたら…とは思っていたんですけど、こうして本当に会えるなんて |
| 833 | うふふっ、思い切ってここまで来てよかった |
| 834 | あの、もしよかったらどこか案内してもらえませんか? 東京は不慣れなもので |
| 835 | よかった、ありがとうございます |
| 836 | あ、やっぱりご迷惑ですよね… ご、ごめんなさい |
| 837 | そ、そうですよね ごめんなさい、お時間を取らせてしまって |
| 838 | 失礼します |
| 839 | まあ、ここが浅草? |
| 840 | いいえ、全然大丈夫です |
| 841 | うふふっ、いかにもお江戸という感じの賑やかな風情がありますね |
| 842 | で、でも…本当にすごい人込み |
| 843 | きゃ |
| 844 | こ、こっちですう |
| 845 | はあ、ごめんなさい 私少々おっとりしたところがあって |
| 846 | あ、あの… 手を繋いでもいいですか? |
| 847 | は、はぐれてしまうとひとりでは帰れませんから |
| 848 | はい、お願いします |
| 849 | そ、それでは… |
| 850 | あの、今日はありがとうございました |
| 851 | うふっ、東京に来て、本当によかった |
| 852 | そんな… |
| 853 | では、もう戻りますね |
| 854 | また、京都のほうにも来てくれますか? |
| 855 | よかった… |
| 856 | 楽しみに待ってます |
| 857 | それでは…どうか、お元気で |
| 858 | あっ |
| 859 | な、何か御用ですか? |
| 860 | 御用がないなら、どうぞ、お帰りになってください |
| 861 | あっ |
| 862 | ご、ごめんなさい 私、なんて事を… |
| 863 | わ…私…私… |
| 864 | ずっと…ずっと、お会いしたかったんです なのに…あなたは… |
| 865 | 私、寂しかったんです… とっても… |
| 866 | でも |
| 867 | でも、来てくれたんですよね 私に会いに |
| 868 | なのに私ったら… |
| 869 | いいえ、もういいんです こうしてお話もできましたから |
| 870 | ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした |
| 871 | あの、もう大丈夫ですから 今日はもう戻りますね |
| 872 | お爺様も、きっと心配していると思いますので、元気な顔をお見せしないと |
| 873 | はい、あの…またこちらに来てくれますか? |
| 874 | きっとですよ |
| 875 | うふっ、よかった… それでは、失礼します |
| 876 | はい、綾崎でございます |
| 877 | あ |
| 878 | お元気…だったんですね よかった |
| 879 | ちっともお電話を下さらないから、何かあったのかと 私、心配したんですよ |
| 880 | いいえ、もういいんです お声を聞いて、安心しましたから |
| 881 | うふふっ、今日は久しぶりにぐっすり眠れそう |
| 882 | どうか、お身体だけには気を付けて下さいね |
| 883 | またお会いできる日を楽しみにしています それでは、また |
| 884 | はい、綾崎でございます |
| 885 | あ、はい、私です 若菜です |
| 886 | お元気そうですね、よかった |
| 887 | はい、綾崎でございます |
| 888 | あ、はい、若菜です よかった… |
| 889 | お電話、ずっとお待ちしていたんです |
| 890 | あ、それと、送ってくれましたよね、プレゼント |
| 891 | 私、感激しました 本当にありがとうございます |
| 892 | あ、それと、先日は結構なものを送って頂いて、ありがとうございました |
| 893 | 少々お待ち下さい それでは、今度の… |
| 894 | 本当ですか? はい、喜んでお供します |
| 895 | 日曜日などは? |
| 896 | 月曜日などは? |
| 897 | 火曜日などは? |
| 898 | 水曜日などは? |
| 899 | 木曜日などは? |
| 900 | 金曜日などは? |
| 901 | 土曜日などは? |
| 902 | はい、それでは…えっと、次の週の… |
| 903 | あの、ごめんなさい これ以上先のことは判りかねます |
| 904 | はい、とっても残念です |
| 905 | あの、きっとまたお電話して下さいね |
| 906 | はい、失礼します |
| 907 | よかった、またお会いできるんですね |
| 908 | はい、道中お気を付けておいでくださいね それでは、ごきげんよう |
| 909 | もしもし、若菜です あの…今日もお留守なんですね… |
| 910 | お元気ですか?お変わりはありませんか? |
| 911 | 私は…若菜は…少し、寂しいです |
| 912 | もしよろしかったら、せめてお声だけでも聞かせて下さいね |
| 913 | それではこれで、失礼いたします ごきげんよう |